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コイルと磁界(磁界発生器による実験)


コイルに電流を流した時に、どれぐらいの磁界が発生するのか、コイル(磁極)とコイル(磁極)の距離を変えた時、磁界の強さがどのように変化するのか、など実際に試してみました。

   

コイルが発生する磁界の強さを測定するために、図1のような磁界発生器なるものを作りました。50kHz程度の交流電流も流せるようにインダクタンスを小さくしました。また上下の磁極間の距離も変えられます。

磁界を発生させるため、空芯コイルではなく、フェライトに電線を巻いています。閉じた磁気回路となるように、両側の支柱と上下の磁極全てがフェライトで密着できるようにしました。

  図 1 立体図の表示磁界発生器 図
 

図2は、磁極間の距離を65mmに固定し、コイルに流す直流電流を1A~8Aまで変えたときのグラフです。測定位置は、上下磁極間の真ん中付近です。
電流の大きさと、磁界の強さが比例していることが分かります。

図2
 

図3は、コイルに流す直流電流を8.5Aに固定し、磁極間の距離を変えたときのグラフです。測定位置は磁極間のほぼ中間です。

図3
 

磁極間の距離Dに磁界の強さHが反比例すると仮定すれば、

H = A × 1/D

と言う式が立てられます。は任意の比例係数です。
磁極間のほぼ真ん中で測定しているので、距離D=15mmとなり、
その時の磁界の強さが130gaussだったので、比例係数Aは、

A = H × D = 130 × 15 =1950

と求められます。
従って、磁界の強さHは、

H ≒ 1950 × 1/D

と言う近似式が得られます。

この近似式を使って計算した値と実測値を比較すると、表1のようになりました。
比例係数はギャップ30mmで計算したので、
近似式との比較はギャップ40mm以上の場合です。
少しずつ差が大きくなりますが、磁界の強さが距離に反比例していることが分かります。

表1
DC8.5A
磁極間距離 実測値 比例係数Aを
(mm) (gauss) 使った計算値
30 130 130
40 96 98
50 74 78
60 60 65
65 54 60
 

以上、簡単な実験でしたが、コイルが発生する磁界がどのように変化するのか、磁界の強さを示す単位てどんなものかなど、教科書に書いてあることを実際に試してみることで、実体験をともなった理解ができると思います。
ちなみに磁界の強さは、SI単位系ではT(テスラ)ですが、今回はcgs単位系のgaussで表記しました。1T=10000gauss になります。
また、関東近辺の地磁気は、約0.45gaussで、地表に対して約45度の傾きを持っています。方位磁石などは、この小さな磁界に反応して向きを示していることになります。



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