コイルの設計

コイルの表面温度

コイルの表面温度

コイルを設計するとき、

コイルを設計するとき、安全に実験するためには、コイルがどれぐらい発熱するのかを考えなくてはならない場合があります。

例えば、コイルがプラスチック製の容器に接触している場合、コイル表面の温度が150℃ともなれば、容器が融けてしまいます。

あるいは、コイルを作るために使う電線には絶縁層が製膜されていますが、その絶縁層の耐熱温度を超えると焼け焦げてしまいます。経験したことのある人は多いのではないでしょうか。独特の異臭がします。



コイルの表面温度、何アンペア流した時にどれぐらいの温度になるのかを予測することは、安全性から見てとても重要な要素と考えられます。

まず実測可能なコイルの表面温度をT1℃、室温(環境)の温度をT0℃とします。T1は熱電対などで測定可能です。室温や環境に関係なくコイルだけの表面温度をΔT℃が分かれば、安全性を評価できます。式で表すと、

T1 = ΔT + T0

となります。
例えば、室温が50℃の場合、コイルの表面温度は、

50℃+ΔT℃

となります。
ΔT(デルタティーと言う)の値が分かれば、コイルを使用する環境温度によって、そのコイルが熱により損傷するのかしないのかの判断ができます。


今回は、このΔTを計算で予測するための実験を行いました。

実験用にコイルを作りました。

コイルの仕様は、
線材:導体径Φ0.75mm
巻数:1000T
RDC:9.72Ω(直流抵抗)
重さ:1.007kg

アルミプレートにボルトを取り付け、
そのボルトの上にコイルを載せました。
固体の熱伝導を少なくし、輻射熱だけによる放熱としました。



外形寸法

実験結果


90分程度でほぼ飽和したと考えて良さそうです。

実験結果




 

学生時代に使っていた電磁気学の演習書(共立出版社「詳解 電磁気学演習」)に下記設問があります。

問)
「質量m、表面積S、比熱、単位面積単位時間当たりの放熱度νの金属に電力Pの電流を通すとき時間t後の温度上昇を求めよ」

解)
室温θ0、金属の温度θとする。
温度がだけ上昇するための熱量はmcdθ
dt時間の放熱量はSν(θ-θ0)dtで、
発熱量は0.239Pdt(注1)であるから、

mcdθ+Sν(θ-θ0)dt=0.239Pdt

結局(途中略)

θ-θ0=0.239P/Sν×(1-e-(Sν/mc)


(注1 P=RI^2

このθ-θ0は、ΔTそのものです。
(1-e-(Sν/mc)は、飽和するまでの過程なので今回は考えません。

実験結果から、νを逆算すればコイルのΔTが予測可能になります。
EXCELを使い、方熱度を計算したのが下表です。
大雑把に見て4.3前後のようです。

放熱度の算出

放熱度の算出

 

今度は形の異なる別のコイルで同様の実験をしました。

線材:導体径Φ0.65mm
巻数:800T
RDC=5.33Ω
重さ:298.5g

外形寸法


実験結果

実験結果2

電流密度と△T 図

放熱度の算出
放熱度の算出2

形状の異なる二つのコイルの実験結果から、放熱度は3.5~4.5の範囲内であると考えられます。
コイルの形状や使う線材などで変わるのでしょう。
今度は、放熱度を基にΔTを予測してみましょう。
使うコイルは先の2つのコイルよりずっと大きなコイルです。

整列密着コイル 外径φ330

仕様
外形:内径φ220、外径φ330、厚さ51.5mm
線材:導体径Φ1.6mm
抵抗値:8.5Ω
電流値:5A
電流密度:2.487A/mm^2
重さ:17.8kg

左のコイルが最初の実験用コイル、右側が今回のコイル
並べると大きさの違いが分かります。
実験用コイル 比較写真

ΔTの予想値

ΔTの予想値

十分に時間が経過した時のコイルの表面温度は、70℃~90℃程度まで上昇すると予想されます。

実験した結果が下表です。

結果




放熱度を3.5と見た時とほぼ同じΔTとなりました。
安全性を考えると、温度を低めに予測するより、高めに予測した方が余裕が生まれるので、
今後3.5を一つの目安として検証を続けていこうと思います。

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