コイルの設計

線占積率と巻数

コイルの線占積率WRと巻数

線占積率とは、四角いコイル断面積に対し、電線が占める割合のことです。
線占積率をWR、コイル断面積がSc、電線断面積がSwとすると

WR=Sw/Sc×100 (%)

と計算します。
この線占積率が分かれば、任意の断面積に何本の電線が巻きつけられるかが分かります。
整列巻きは、2つのパターンがあるので、それぞれについて計算してみましょう。

A.
偶数層=奇数層の場合 コイルの断面積

コイルの幅W=(n1+0.5)*φ
コイルの高さh=0.866×(n2-1)×φ+φ
コイル断面積Sc=W×h

電線の断面積
総巻数N=n1×n2
Sw=π×(φ/2)^2×N


例えば、
n1=10T、n2=10層、線径1mmとすると、

W=10.5、h=8.794、Sc=92.337
N=100、Sw=78.53

従って、
WR=78.53/92.337×100 ≒ 85.05 (%)
です。

B.
偶数層=奇数層-1Tの場合 コイルの断面積

コイルの幅W=n1*φ
コイルの高さh=0.866×(n2-1)×φ+φ
コイル断面積Sc=W×h

電線の断面積
総巻数N=n1×奇数層+(n1-1)×偶数層
Sw=π×(φ/2)^2×N

 

例えば、
n1=10T、n2=10層、線径1mmとすると、

W=10、h=8.794、Sc=87.94
N=95、Sw=74.61

従って、
WR=74.61/87.94×100 ≒ 84.84 (%)
です。

このように、A、Bともほぼ85%になりました。

任意の四角い断面が分かっている時、その断面積の85%が巻きつけが可能です。
電線の仕上り外径φを決めれば、断面積Scに巻きつけられる本数Nは

Sw=π×(φ/2)^2×N = Sc×0.85

N=Sc×0.85/(π×(φ/2)^2)

となり、計算上で巻線が可能な最大値になります。
ガラ巻の場合は、60~65%で考えています。

下表のように巻数を増やすと、90%に近づくようです。

整列巻きと線占積率(偶数層=奇数層)

仕上り外径:1mm

1層巻数層数総巻数電線断面積コイル断面積線占積率
n1n2N(T)Sw(mm2)Sc(mm2)WR(%)
552519.6324.5579.97
101010078.5492.3485.06
1515225176.71203.4286.87
2020400314.16357.8187.80
2525625490.87555.4988.37
3030900706.86796.4888.75
35351225962.111080.7689.02
404016001256.641408.3589.23
505025001963.492193.4289.52
100100100007853.988716.7790.10
2002004000031415.9034753.4790.40
500500250000196349.38216783.5790.57
5001000500000392698.75433500.0790.59
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