4.実験結果
実際に試作したコイルを使い、計算値と実測値を比較してみました。 巻線条件は下記です。
内径:Φ30mm
長さ:15mm
電線径:Φ0.29mm
巻数:340T
まず、インダクタンスを計算してみましょう。
長岡係数は、
Φ30/15 = 0.526
空芯なので、
μs = 1
従って、インダクタンスLは、
L = 0.526 × 4π^2 × 1 × 15^2 ×340^2 ÷ 15 ×10-7
= 3.601 mH
となります。半径aは、内径とします。
次に、抵抗値を計算してみましょう。
まず、1m当たりの抵抗値が分かっている導体径Φ0.5mmの電線を使った場合の長さを決めます。
1層当たりの巻数は、15mm/0.5mmより30T です。
340T巻線した場合、総数は11.3層となり、コイルの肉厚は、
0.5 × 11.3 = 5.65 mm
で、コイルの内径と外径の平均径は、15 + 5.65/2 = 17.825 mm、
1T分の電線の長さは、
2×π×17.825 ≒ 112.0 mm
340Tなので使用する電線の全長は、
112 × 340 = 38080 mm = 38.08 m
と計算されます。
従って、その時の抵抗値は、
38.08 × 0.09 = 3.4272 Ω
となります。
実際に使用した電線は導体径Φ0.29mmなので、この電線に変えた場合の抵抗値は、
R = (0.5/0.29)^2 × 3.4272 ≒ 10.19 Ω
と算出されます。
実測値と比較すると下表のようになります。
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計算値 |
実測値 |
インダクタンス mH |
3.601 |
3.69 |
抵抗値 Ω |
10.19 |
8.77 |
抵抗値の計算は、今回は内径と外径の平均径から計算しましたが、内径を基準にして計算すると、8.573Ωとなり、実測値により近づきます。
インダクタンスの値も、コイルの肉厚が5mm程度までなら、平均径を使うより内径を使ったほうが実測値に近い値が算出されます。
以上のようにコイルの設計は、計算によって概略が分かるものの、最終的には実物を作って確認する必要があります。
特に抵抗値は、室温や巻線するときのテンション、電線径そのものもバラツキがあるので、計算値との差が大きくなると思われます。
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